お腹の鳴る音を求めて
*筋性防御
湧泉の「整体」は筋性防御と言う身体の反応をとても大切にしています。
ツボは、病的な状態のときに表れる身体の働きによる反応点です。
全身のツボの図をよく見かけることがあると思いますが、図に描いてあるツボが常に有効な状態であるのではないのです。
また、たとえ有効なツボであっても、そこをやみくもに押せばよいというものでもありません。
急激な刺激や、強い押圧は痛いばかりで、かえって害になることが多いのです。
そこが急所であるからこそ、繊細で過敏な反応をする状態になっているのがトリガーポイントであり、有効なツボなのです。
自律神経には、心身を緊張状態にする交感神経と弛緩をうながす副交感神経があります。
痛みや、身体が病的であればあるほど、皮膚や筋肉は警戒反応を起こし、交感神経優位の緊張状態になっています。
それに伴い、外からの刺激が、大切な急所への容易な侵入を許すことを拒んで筋性防御をおこなっています。
突然の強い刺激を受けると、一瞬の内に筋肉は硬直して身体を守ろうとしているのです。
これは交感神経性の反射作用です。
この状態が継続すると痛みの悪循環になり、トリガーポイントを発生させ、慢性痛の原因になります。
筋性防御をおさえて、神経の興奮を取り除くことが大切になります。
適切な施術を行うために、先ずはその部位を探さなければなりません。
湧泉では、有効なツボや活性化しているトリガーポイントを探すのに、この筋性防御反応を活用しています。
指先に感覚を集中し、押圧に対する微かな反発を感じたら、筋性防御反応の可能性があります。更に慎重に確かめます。
微細な筋性防御の反応を指先で感じることの訓練が大切です。
筋性防御は人によって個人差があり、また同じ人でもその時々でかなり違いがあるので要注意です。いきなりの強い刺激はタブーです。
筋性防御のある部位を確認したら、そこが有効なツボであり、トリガーポイントでもある施術部位なのです。
筋性防御を抑えるための安定持続圧の手技をつかった施術に入れるのです。
*安定持続圧
有効なツボやトリガーポイントは副交感神経の作用にも敏感に反応します。
トリガーポイント(有効なツボ)を確認できたら、そこで押圧の圧を少し緩め、時間をかけた安定持続圧を行います。
急激な強い圧は害になりますから、漸増押圧(ゆっくりと徐々に押圧の力を入れていくこと)を行い、筋性防御反応が起きない力で押圧を安定させ持続圧に移行するのです。
押圧が弱すぎても、響きが浸透せず、かえって満足感が得られないため、欲求不満でストレスになります。
眠たくなるような。痛気持ちいい位の持続圧を行います。
*腹鳴り
東洋医学では、阿是穴(あぜけつ)と云うツボの名称があります。
阿是とは中国語で「あ!そこ!」という意味で穴は「ツボ」のことです。
身体が押して欲しがっている気持ち良いツボのことです。
外部からの刺激から身体を守ろうとして過敏な筋性防御反応を起こすようなトリガーポイントも、心地よい押圧により、一変して阿是穴状態に変わります。
同じ押圧点でも痛みや緊張、ストレス過多などの交感神経優位な状態から、気持ちの良い、ゆったりとした副交感神経優位に変わるのです。
副交感反射で胃や腸の蠕動運動が始まり、お腹が鳴る腹鳴反応もあります。
その一つ目が、阿是穴反応です、
阿是穴に心地よい押圧が当たると腹鳴反応があります。
心地よい押圧を感じた初期のお腹の鳴る音は多くの場合、短い音です。蠕動運動の前段階のお腹の動きです。
「ぐっ!ぐる!」
「あ!そこ!」「そこが押して欲しいですよ!」と教えてくれるのです。
その二つ目が、副交感神経優位反応です。
安定持続圧続けていると、コリがほぐれ、トリガーポイントが沈静化して非活性化するときは長い大きめの腹鳴があります。
「ぐっ~!グルルッ~!」
一定の間隔で蠕動運動が続く自動運転状態になることもあります。
緊張がほぐれ、副交感神経の働きが優位になり、副交感神経支配の消化器官の蠕動運動が活発になるのです。
「痛みやコリが無くなって気持ち良いですよ!」と教えてくれるのです。
お腹の音は、押す部位を探すときも、効果が出てきた時も教えてくれるのです。
本当に助かります。
お腹の鳴る音が聞こえる静かな施術環境で長年施術を続けてきたのが幸いしました。
「湧泉の施術は押してほしいところを、丁度良い力で、満足するまで押してくれる」とよく言われます。
お腹の鳴る音のおかげです。
気持ちの良いゆっくりとした安定持続圧で、副交感反射が起きてきます。
硬直した筋肉は緩み、コリはほぐれ、身体を守る本能である過敏な筋性防御は必要なくなり、トリガーポイントは非活性化してきます。
緩みが進んでくると、副交感反射作用で、消化器官の働きが促され、腹鳴り(お腹がグルグルと音を立てて動くこと)が始まります。
湧泉の施術は、有効なツボやトリガーポイントを筋性防御と阿是穴反応で見つけて、安定持続圧の副交感反射作用で、腹鳴りが始まるまで緩めることを最も大切にしています。
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