母の形見
今日から6月。
あちらこちらであじさいの花を見かけるようになった。
「そうだ、玄関の扇を変えなきゃ」
5月の花菖蒲から6月の紫陽花へ。
桜の季節に、以前母から誕生祝いにもらった桜を何げなく飾っていた。
そうしたら、お客さんから「きれいですね」の言葉をいただいた。
それほどと思っていなかったが、「母が持っていたのを貰い受けたのです」と言ったことから飾ることになった。
それがなければ、本棚の下にずっとしまわれていることだったろう。
25、6年ほど前、両親は、何かの折りに私たちをよく訪ねてきてくれた。
私たちと楽しい時を過ごした後、必ず京都に寄って帰るのがいつものことだった。
まだ足が達者だった二人は、京都中を歩いたと楽しく話してくれた。
その時々に宮脇賣扇庵に寄って少しずつ集めたのがこの扇たちだ。
ひと月に二本ずつある。
実家では、月が変わるとこの扇たちが、必ず掛けかえられていた。
三鷹の施設に入るときも持ってきて、月初めには必ず掛けかえていた。
身体が弱ってきたら、掛け替えは、私の仕事
「今日から、6月よ」と言ったら最後(その後、私が忙しかろうが)「あれをかえて」とせがむのだった。
色んなことがあいまいになっても、この扇の花の名前だけはきちんとわかるのには、びっくりだった。
例えば、「うつぎ」
「いつだっけ?」の花がたくさんある。
ましてや、昔の花も混ざっているから。
聞く人がいなくなって、寂しさをこんなことで感じるとは。。。
wisteria
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