お腹が鳴る(副交感神経優位)
安定持続圧による副交感神経優位効果
指圧の世界的な大家であり、卓越した理論家でもある故増永静人師は、その著書「経絡と指圧」(医道の日本社・経絡と指圧・増永静人著)の中で以下のように述べています。
『生体が昼間、交感神経優位で活動する、というのは、生命のエネルギーを外界から取り入れることに主体がある。このための歪みは、取り入れたエネルギーを内部で同化し、適当に配分し、老廃物を排出するという、夜間の副交感優位の状態によって回復される。
同時に昼間に生じた経絡の虚実は、夜間の休息で平に戻るのが、健康状態であるといえよう。
動物にはそれが可能であるが人間のストレス過剰な生活は、虚実の歪みを回復させないままに朝を迎え、再び昼間の活動に向かわねばならない。
その蓄積によって生じるのが、「単なる休息」では回復不可能となった、「病的虚実」にほかならない。
実とは、運動態勢の緊張のまま残されて、筋肉が硬直し、血管が緊張し、血流は増大、圧上昇といった交感神経緊張に相応した経絡の状態であろう。
こうした実の経絡を古典では「外堅充満」というが、原形質のゲル化した感じといえば、よりピッタリするのではなかろうか。
これに対し、「虚者聶辟(セクヘキ)(しわがより縮んだ様)気不足」というのは、ゾル化が進行しないため空虚になった経絡の様であろう。
そこで「圧を加えるとゲルがゾルにかわる揺変性」を思い出してもらえば、コリや硬直などの実に対し本能的に圧を加える手技療法が、先ず医療に現れたということもうなずける。』
注・・・揺変性=圧力を加えるとゲルがゾルにかわる性質は、多くの細胞の原形質に備わった性質で、揺変性(シクソトロピー)と呼ばれる。
ゆっくりとした、痛くない、押圧中心の施術(安定持続圧といいます)により、響きが伝わるように圧が浸透し、細胞の中の原形質の流動が促進されます。
この原形質流動の状態は細胞間で伝達、同化され、身体の離れた部位まで伝わります。
クライアントの身体は、筋肉は軟化し、リラックスして、本来の生命維持活動を担う、副交感神経優位の状態になります。
身体を休息させ、自己治癒力、修復システムを回復させるのです。
呼吸が整い、筋肉の余分な緊張がなくなり、消化器の動きが促進され、胃や腸の動きだす音が聞こえてきます。
表面的で比較的軽度の緊張やコリが先にほぐれるので、ほぐれにくい頑固な本来のコリや、拘束が、分りやすくなってきます。
施術のターゲットが絞り込まれてくるのです。
湧泉の整体も押圧(安定持続圧)中心の施術です。
ほぐれにくい頑固なコリや、拘束をじっくりと押圧することによって、筋細胞はゲル状態からゾル化し、緊張した筋組織は軟化してコリや痛みが解消するのです。
お腹の音が聞こえない場合
原因
緊張、興奮、交感神経優位、胃や腸の調子が悪い、首や肩の凝り(迷走神経の通りが悪い)背中のコリ、など。
対処
イ、足、腕の経絡の押圧(胃経、脾経、小腸経、大腸経など)
ロ、迷走神経の通りを良くする(首下部の押圧・・・斜角筋、胸の押圧・・・大胸筋、小胸筋)
ハ、背中の押圧(増永経絡背候診)押圧のリズムと補の手が大切です。
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