みだれ箱
先日、母の施設で、「クローゼットに入れるプラスチックのようなタンスを用意していただけませんでしょうか?」と言われた。
これまではどうしてた?
洗面台の脇の深めの引き出に入れていた。
それで十分だと思っていた。
ブラウスやカーディガンがかけてあるクローゼットの前でズボンも選びたいらしい。
おしゃれな母のことだから、それはわかる。
それから3,4日「衣装ケースか~」と思いながら、あちこち探して歩いた。
三鷹の名取屋、ホームピック、吉祥寺の無印、など。
以前段ボールでの衣装ケースが大大的に売り出されていたのをふと思い出したりして、WEBでも探した。
クローゼットに入る大きさの縦、横、高さも測って。
探しながらなぜかしっくりしない、気が乗らない。
プラスチックのものなら2千円代で買える。
買っちゃえば簡単、なのに・・・
なのに・・・
なんかイライラ。
「本当に必要?母がいなくなったらうちが引き取る?うちのどこに置く場所がある?うちに母のものがまだ一山ある」
いろんなことが頭を駆け巡る。
駆け巡りながら、「そうなんです、もう、ものはいらないんです」と気づく。
もう、私の代でもいらないんです。
必死でものを減らそうとしている、私。
それでもいつのまにか増えている・・・
そんな中ふと思い出した。
母の嫁入り道具の中の「みだれ箱」を。
温泉宿で浴衣や丹前が置いてある箱。
といえばわかるだろうか。
母のは、螺鈿を施した贅沢な物。
そこにくるくると巻いたズボンを並べた。
何とかなった。もやもやが消えた。
母は嫁入り道具だけは施設に持ってきた。
鏡台や火鉢そして衣紋かけは姉のところに行っている。
母にとっては命の次に大切なもの?
歴史的に貴重なものかもしれないが、私にとっては次の悩みだ。
wisteria
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